アレス(マルス)【軍神、戦争、戦い、破壊、乱暴】

ギリシャ・ローマ神話

Ares、Mars。オリュンポス十二神の1柱で、戦争(攻撃、破壊、残酷さ)の神。戦いの神であるアレス(マルス)は、粗暴で無計画な乱暴者であるため、基本的に神々に嫌われた存在であり、実の父ゼウスにも「オリュンポスの神々のなかで最も嫌いだ」と言われた。しかし、彼の起こす戦いは、冥界の住人(死者)を増やすことから冥界の王ハデスとは交友がある。

ギリシャ神話ローマ神話英語
アレスマルスマーズ

また、ヘファイストス(ウルカヌス)の妻アフロディーテ(ヴィーナス)は、アレス(マルス)に心ひかれ密会を重ねた。アフロディーテとアレスの愛の密会は、西洋絵画のモチーフと人気が高い。(最終的に、ヘファイストスとアフロディーテは離婚、アフロディーテは謹慎処分になった。)

『ヴィーナスとマルス』(サンドロ・ボッティチェッリ/1483)

父はゼウス、母はヘラで、乱暴で残酷な性格だが、イケメンである。ヘファイストスとは兄弟。アフロディーテ(ヴィーナス)との間に、息子エロス(クピド)がいる。

また、アレス(マルス)は軍神でありながら、戦いには弱いと描写されている。特に、秩序ある正義の戦いの女神アテナ(ミネルウァ)とは相性が悪く、何度も衝突しては負けるということを繰り返している。乱暴なだけ、勢いだけでは、戦争に勝つことができないのである。

英語で「火星」のことを「Mars(マーズ)」というが、まさにアレス(マルス)に由来している。火星が赤く不気味に輝くことから、それが戦火や血の色のようだと考えられ名づけられたとされる。

手相においては、手のひらの中央のくぼみを「火星平原」といい、その親指寄りの部分(ちょうど生命線のはじまる部分と母指球の間)を「第一火星丘」、反対の小指寄りの部分(感情線のはじまる部分と小指球の間)を「第二火星丘」といい、「火星」=「アレス(マルス)」のパワーが宿る部分としている。「第一火星丘」と「第二火星丘」の区別は、「第一火星丘」が「アクセル」のはたらき、「第二火星丘」が「ブレーキ」のはたらきと考えるとわかりやすい。アレス(マルス)の乱暴な性格は、特に「第一火星丘」に現れると考えられ、「第一火星丘」の盛り上がりが大きい場合、「攻撃的、情熱的、行動が早い、積極的」また「喧嘩っ早い」と解釈する。一方、「第二火星丘」は「自制心」の度合いを表すため、この部分の盛り上がりは「考えすぎ、消極的、秩序を重んじる」また「行動に時間がかかる」という解釈になる。「第一火星丘」をアレス、「第二火星丘」をアテナの性格として考えるとわかりやすいかもしれない。実際の手相鑑定では、これら「火星丘」のバランスとともに、中央の「火星平原」が適度にくぼんでいることが、バランスのよい手相であることの条件となる。

マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)(1996年)という、ティム・バートン監督のSFコメディ映画があったが、火星人が地球にやってきて、手当たり次第に光線銃で人を焼き尽くしていくというストーリー。コメディタッチでありながら、突然やってきた異星人が暴れ回るという展開にはゾッとする。ここに登場する火星人の乱暴な性格をアレス(マルス)の性格と重ねて考えてみるとおもしろい。そりゃあ嫌われちゃうよなー。(個人的にキャラクターのデザインとか、映像とかはかなり好きです!)

キーワード

軍神、戦争、戦い、破壊、乱暴

関連するシンボル

火星

「火星」は英語で「Mars」=「マルス(アレス)」のこと。火星は、赤く不気味に輝くことから戦火や血の色と関連付けられ、戦争の神と結びついた。

3月(March)

「3月」は英語で「March」=「マルス(アレス)」のことを指す。元々古代ローマ時代には、現在の3月が1年の始まりの月であり、新年を迎えるために、各地で戦争が起きやすく、「戦争を象徴する月」であることに由来し、その名をつけられています。

ヘマタイト

ヘマタイトは、鉄を主成分とする、銀色の光沢のあるクリスタルです。この石を削ると鉄分が酸化して赤い粉になることから、血液を連想させ、そこから「軍神マルスの石」といわれるようになったとされています。戦争に赴く際には、兵士たちの勝利のお守りとして利用されたといわれます。

登場するオラクルカードデッキ

『Gods and Titans』by  Stacey Demarco

アレス 戦争

このカードではアレス(マルス)の軍神としてのパワーに注目して「戦争」をキーワードにしています。しかし、「戦争をしよう!」というわけではありません。むしろ、破壊的で、乱暴・粗雑な、衝動的な戦いはなるべく避けよう、というのがこのカードのメッセージです。私たちは怒りや憎しみを感じたとき、この絵のアレスのように、いきり立って、すべてを破壊したい衝動に駆られてしまうことがあります。しかし、それは最善の策ではありません。自分のなかでアレスの性質が高まっているだけだと考えてください。乱暴者のアレスは、神々からも嫌われていました。そこから学んだ我々は、同じことをしている場合ではないのです。怒りのエネルギーを暴力やケンカといったことに使うのではなく、別の手段で、使うことを考えましょう。相手を殴り倒すことだけが戦争ではありません。相手に不満を感じたときこそ、ギャフンと言わせるために、ベストな策を練るチャンスです。内側で燃え盛る戦いのエネルギーを自分の成長のために使ってください。

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