エロス(クピド)【愛の神、結びつける、恋、真実の愛】

ギリシャ・ローマ神話

Eros、Cupid、Amor。万物を結び付ける愛の神。「エロティシズム(エロ)」の語源になった。ヘシオドスの『創世記』によれば、エロス(クピド)は宇宙の創世時に現れ、さまざまなものを結び付けてこの世界のすべての愛を誕生させたとされる。

ギリシャ神話ローマ神話英語
エロスクピド(アモル)キューピッド
『クピド』(ウィリアム・アドルフ・ブグロー/1875)

もともとは肉体を持たない霊的な存在であると考えられていたが、西洋絵画ルネサンス期(15~16世紀)に翼をもった少年の姿で描かれはじめ、後にキリスト教絵画のいわゆる「天使」像に利用されました。一般に「天使」と聞いて思い出される羽の生えた小太りの幼児の姿は、さらに後のバロック期(17世紀)やロココ期(18世紀)に作られ、定着したキューピッド(エロス、アモル)のイメージ。「天使」関連のオラクルカードなどを扱われる方は、ぜひ、エロス(クピド、アモル)と「天使」の違いを知っておきたい。

エロス(クピド、アモル)天使
○愛の神
○愛はどこにでも存在する
○愛があることを表すだけ
○エロスは、エロス
○物語には関係なく、愛なら登場する
○キリスト教における「神の使い」
○神からの使者なので、それほど多くは登場しない
○役職(階級)のある存在
○それぞれに名前がある(ミカエルなど)
○物語ありきで配役がある

母はアフロディーテ、父はアレスとされる。エロス(クピド)はいたずら好きで、弓矢でしょっちゅういたずらをするので、よく父アレスや純潔の女神であるアルテミスアテナに罰せられる。

古代ギリシャ人は、この世界の始まりには混沌しかなかったと信じていました。そして、最初の組織化がはじまったのが、エロス(クピド)の結びつける力のおかげだというのです。そのため、ここで登場したエロス(クピド)は力強く、責任感のある成人の男性の姿であったと考えられています。繰り返しますが、小太りの幼児の姿で描かれるのは、キリスト教の影響を受けて以降です。

キーワード

愛の神、結びつける、恋、真実の愛

関連するシンボル

弓と矢

エロス(クピド)の金色の矢は、命中したひとに恋心を芽生えさせ、鉛の矢は恋する心を失わせる。彼の放つ矢は大きな事件や悲劇につながることがあり、人だけでなく、神も巻き込まれてしまう。誰しもに訪れる悩める恋の経験は、エロス(クピド)のせいであるといえる。

下の図は、まさにエロス(クピド)矢がハートに命中したところを描いた作品。エロス(クピド)と一緒に飛んでいる2羽のハトが2人の結びつきを象徴的に描いている。また、絵の下の方ではエロス(クピド)が矢を火にくべており、真実の愛を勝ち取った2人には、もう矢は必要ないことを示している。

『アモルの標的』(フランソワ・ブーシェ/1758年)

登場するオラクルカードデッキ

『Gods and Titans』by  Stacey Demarco

エロス 愛

古代ギリシャにおける、本来のエロス(クピド)の姿をイメージしたカードであることを理解してください。あのかわいらしい幼児ではなく、ムキムキの勇ましい姿で描かれています。彼がこの世界のすべてをつなぎ合わせ、混沌の時代から世界の創世を手伝ってきたのです。彼をみれば、愛がすべて導くのを許す、それに任せてみようという気持ちになりませんか。愛を信じ、それを信頼することで、魂レベルで解放されていくのです。愛をもって、人生を整理しようとするとき、エロス(クピド)が手伝ってくれます。真実の愛を見抜かせてくれるでしょう。他人に依存したり、単に楽しい、快楽だけの関係は愛とはいえません。本当の愛を感じたとき、自分自身の真実の部分とつながっている、そんな深い癒しの感覚がやってくるはずです。エロス(クピド)は結びつける神です。本当の愛は、あなたのなかで分離した心も、やさしくつなぎとめて、本当のあなたに戻っていくことを手伝ってくれます。

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