Metis。叡智や思慮、また助言を意味する知性の神。オケアノス(ポセイドンの前の世代の海神、ティターン神族)とテテュス(ティターン神族の女神)の3000人の娘オケアニデスの1人であり、ティターン神族に数えられる。(※ティターン神族は、ゼウス(オリュンポスの神々)より前の世代(父親クロノスの世代)の神。体が大きい。)
ゼウスの最初の妻であり、娘にアテナ(ミネルウァ)がいる。
ゼウスより前の世代の話。ティターン神族の末弟クロノスは、母ガイアの命を受けて父ウラノスを倒し、神々の王となった。しかし、その際、ウラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻レアはそれを悲しみ、ガイアに相談し、闇夜の外で末っ子ゼウスを産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたためにゼウスは生き延びた。
ゼウスは、成人すると母レアと知恵の女神メティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにした。知恵の女神メティスは、クロノスに飲み込まれたゼウスの兄弟たちを吐き出させる薬を作った。ゼウスはこれをクロノスに飲ませ、ポセイドンやヘラたちを次々と吐き出させた。ゼウスは兄弟たちと力を合わせてクロノスを破り、神々の王になった。(このときの、クロノス率いる神々vsゼウス率いる神々の戦いを「ティタノマキア」という。)
その後、神々の王となったゼウスはメティスを妻として迎え入れた。ゼウスは「メティスが男の子を生めば、その子が王位を奪う」という神託を恐れ、メティスが妊娠すると、メティスもろとも飲み込んだ。しかし、メティスのお腹の子は、ゼウスの頭に移動して成長。ある日、激しい頭痛に襲われたゼウスが息子のヘファイストスに頭を割ってもらうと、そこからアテナ(ミネルウァ)が誕生した。
メティスはその後もゼウスの体内で生き続け、ずっとゼウスに知恵を授けた。そのため、ゼウスは全知全能の神になれた。
キーワード
知性の女神、知恵、思慮
関連するシンボル
アテナ(ミネルウァ)
メティスが、ゼウス(ユピテル)に飲み込まれた後、頭からアテナ(ミネルウァ)が生まれてくるエピソードはあまりにも有名。アテナは戦いの女神であるが、母メティスの知性を受け継ぎ、知性と戦略を重んじる、正義の戦いの女神となった。
登場するオラクルカードデッキ
『GODDESS POWER ORACLE』 By Colette Baron-Reid
知性の女神メティスが現れたということは、すでに答えは決まっていて、知恵は授かっているということです。今、何をすべきか、自分のなかで、本当は知っているのです。問題は、ここから賢い選択をする勇気と決意があるかということです。メティスの知恵を授かっても、それを実行する力がなければ、ゼウスのように神々の王として君臨することはできなかったでしょう。今のあなたは、その知恵はあって、あとは実行するだけというところにいます。メティスは、すでにあなたのなかにいるのです。また、ほかのひとからアドバイスや知識を求められることがあるかもしれません。助言することはメティスの職能のひとつです。ぜひ、周囲のひとの役に立つ知恵を提供してあげましょう。そうすれば、物事はうまく回り始めます。
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