定期的に発作のように訪れる「美麗系のカードが欲しい!」欲求で、半ば衝動買いしたデッキです。美麗系のなかでも、ダークな雰囲気のある、それでいてテーマが魔法だというところに心惹かれました。また、各カードの絵がシュルレアリスム風の不気味さをもっているところも、シュルレアリスムが好きなわたしにとってはたまらない魅力です。

このデッキが海外から届いたときの興奮を今でも思い出します。海外からの簡易包装のなかから、この深い緑のパッケージが出てきたとき、思わず息が漏れるような深い興奮があったのを覚えています。また、未だにこのデッキを使おうとするたびに心拍数があがるような気がしています。ダークな雰囲気を持つデッキだからこそ、深いレベルで自分と向き合わせてくれる、そんなエネルギーがわたしをドキドキさせると感じています。
このカードをひとことで
ダークで不気味な世界を通して、自分のなかにある「光」を見つけるオラクルカード。
シュルレアリスム風の美しいアートワークには、痛々しさや怖さを感じるものもあります。しかし、そこに添えられているメッセージは意外なほど前向きで、やさしい。
このカードで描かれる「魔法」は、外から奇跡を起こしてくれるようなものではありません。
デッキのタイトルにある「YOU」のとおり、暗闇のなかで自分自身の力を見つけ、それを使っていくこと。
少し抽象度が高く、カードタイトルにも難しい言葉が使われているため初心者向きとは言いにくいものの、象徴を深く読みたい人や、一般的なオラクルカードとは少し違った世界に触れたい人には、とてもおもしろい一組です。
MAGICK of you ORACLE:基本情報
『Magick of You Oracle』は、トンネルの先に光が見えないときに頼るものです…自分で這って光を灯さなければなりません。
各オラクルカードは、あなたの隠された真実への扉を開けるユニークな鍵です…そしてそれぞれの扉の後ろには、あなたの道を照らし、あなたを導くメッセージが隠されています。
あなたの人生で、復活の火を灯し、回復し、再生しましょう!
『Magick of You Oracle』裏面説明文より引用・翻訳
枚数:36枚
ガイドブック:105ページ
カードサイズ:128×90mm
パッケージサイズ:10.2×3.56×14cm
著者:Fiona Horne
アートワーク: Marcela Bolivar
マットな箱からすでに緊張する
パッケージの深い緑色もそうですが、箱のマットな手触りもあまり見かけない独特のものになっています。そのため、このマットな手触りだけで「ハッ」とするような緊張感を感じてしまいます。パッケージの文字は、反射する素材になっており、マットな箱に「YOU(あなた)」が浮き上がるように工夫されています。この場合の「YOU」は、もちろん使い手である「わたし」なのです。

魔法をテーマにしたデッキは、基本的にはキラキラしたものが多いですが、このデッキにはそんなキラキラした印象はいっさい登場しません。そこに描かれるのはグロさはほとんどありません(流血表現は控えめ)が、痛々しかったり、不気味さを感じさせるようなホラーテイストを感じさせるようなものだったりします。しかし、それでいてメッセージは前向きになれるポジティブなものになっており、不思議と前向きに、スッキリとした気分になれるのがこのデッキのおもしろいところです。

この「EPOCH」のカードでは、首からしおれた花が描かれ、みているだけでかなり苦しい絵柄になっていますが、書かれているメッセージとしては「いったん休め」です。そう、絵柄とは反対に、メッセージはやさしいんです。絵柄が暗闇の中を描いているからこそ、そこに光る灯を見事に再現しているといえるでしょう。

カードのバックデザインには、鍵が描かれており、この鍵が自分の手のひらのなかにあるということが示されています。やはり、魔法は「YOU(あなた)」のなかにあるのです。
深いところで共鳴して受け取るメッセージ
このカードで描かれる魔法は、一般的に考えられているようなキラキラしたり、星が飛んだり、“ステキなもの”の代名詞として使われるものではありません。ここでの魔法は「暗闇に光を灯す」ことが目的となっていて、だからこそ、全体的にダークな雰囲気が醸し出されているのです。

さらに、大切なのはこの魔法の主人はあくまで「YOU(あなた)」であるということです。ここに描かれるダークなものを、オラクルカードの使い手である自分のなかに共鳴させたとき、その世界のなかから本当に魔法のような、導きとなるメッセージを受け取ることができます。
各カードのタイトルは難しい専門用語や英語以外の言語(ズールー語、サンスクリット語)が混ざっており、若干わかりにくいところがありますが、言葉よりも感じることが大切であるというオラクルカードの原点に立ち直ればそれほど大きな問題ではありません。また、カードのタイトル下に添えられたメッセージはわかりやすい短文で表現されており、高校生程度の英語力があればサクッと理解できます。
最初の難しそうという印象を超えて、カードのメッセージと絵柄から、自分のなかの深いところでカードとの共鳴を感じていけば、自分のなかの魔法を感じ、すばらしいメッセージを受け取ることができます。
描かれている象徴&儀式は読み応えあり!
ガイドブックには、それぞれのカードに描かれているものの象徴的な解説が約2~3ページずつ添えられています。内容はメッセージの深堀が中心になっているので、リーディングする際に読む必要はありませんが、前もってしっかりと読み込んでおくと描かれている象徴が理解でき、リーディングに活かすことができます。カードを読む際に重要なことは、ここに描かれているものの意味をしっかりと受け取るということなのです。なかにはタロットカードと関連付けて解説されているカードもあり、このカードのリーディングだけでなく、タロットの解釈の幅も広げるためにも役立ちます。

また、追加の情報として、それぞれに関連する「Ritual(儀式)」が書いてあります。一般的に「Ritual」には様々な準備が必要で、特に植物系(ハーブ、果物など)のオラクルカードに記載されているものは準備すべきものすら揃えられないということも多々あります。しかし、このガイドに記載されているものはクリスタルが少し登場する程度で、赤ペンやキャンドルなど、大掛かりな準備をしなくても実行できるものとなっており、より実践的です。

個人的には「Ritual」はよっぽどのことがない限り実践しないので、特に暗記したり、翻訳するのも興味がある一部に留めています。「Ritual」に興味があれば、実践的な方法として使ったり、まわりに教えたりもできるのでとても有効な内容になっています。
質問するよりも全体的な見通しのために
カードの使い方としては、なにかの特定の質問をするというよりも、人生全体の見通しを立てるために使用することが推奨されています。パッケージの裏面にも「トンネルの先に光が見えないときに頼るもの」とあります。自分の質問さえわからないときに、今必要なメッセージとしてカードを引くことができます。まさに暗闇のなかで光を得るためのツールなのです。
そのため、このデッキのリーディングから得られるものは、一般的なデッキよりも、少し抽象度の高いアドバイスとなっています。そのため、難しい印象を感じてしまうし、初心者の方にとってはリーディングしにくいと感じるかもしれません。
暗闇のなかでこそ光が輝く
デッキ全体を通してダークな印象があるからこそ、そこに書かれている前向きなメッセージが光として輝き、心に響きます。今が出口の見えないトンネルだと感じているときに、このデッキは、どちらに進むべきか、導きをまっすぐ与えてくれます。さらに、このカードによれば、その光はカードから発せられているものではなく、実はこのカードを扱っている「YOU(あなた)」のものであったというオチになっているのがサイコーです!デッキのタイトルからして、すでにもっとも重要なメッセージを伝えているのです。
ややこしいタイトル&怖い印象の絵
とはいえ、やはり怖い印象の絵と、それぞれにつけられたややこしい名前は、特にオラクルカード初心者の前に高くそびえたつものです。オラクルカードで大切なのは、定期的に少しずつでも使って慣れていくことであり、慣れた先でより自由なリーディングが広がっていくことがおもしろいものです。最初から難しいと感じてしまうデッキは、慣れるまでに時間がかかるし、そもそも楽しいと感じて継続していくことが難しくなります。そのため、このデッキは、ふわふわ系が好きな方よりも、むしろそれに飽きて違う路線にも手を出してみたい中~上級者にオススメだと思います。
暗闇のなかでこそ、自分の力を見つける
私がこのデッキを手に入れたのは、仕事のことで少ししんどさを感じていた時期でした。
だからこそ、このカードの世界観に惹かれたのかもしれません。
明るくて、きれいで、「大丈夫」と言ってくれるカードもあります。
でも、そんな言葉がなかなか入ってこないときもあります。
『MAGICK of YOU ORACLE』がおもしろいのは、暗闇を無理に明るく描こうとしないところです。
痛々しいものは、痛々しい。
不気味なものは、不気味なまま。
それでも、そこに書かれている言葉を読んでみると、意外なほどやさしいメッセージが出てきます。
そして、このデッキが繰り返し示しているのが「YOU」です。
箱にも、カードにも、バックデザインの鍵にも、それが表現されています。
魔法は、どこか外からやってくるものではない。
暗闇のなかで何かを見つけ、そこからどうするかを決めるのは自分自身です。
だから、このカードが光そのものなのではなく、カードを通して、自分のなかにある光に気づく。
私は、それが『MAGICK of YOU ORACLE』というタイトルに込められた、一番大切なところなのではないかと思っています。

慧樹の評価
読みやすさ ★★★☆☆
カードに添えられた短いメッセージ自体は比較的わかりやすいものの、タイトルには難しい単語や英語以外の言語も使われています。また、人生全体を見渡すような抽象度の高いメッセージが多いため、慣れるまでは少し難しく感じるかもしれません。
絵柄からの情報量 ★★★★★
シュルレアリスム風のアートワークには、一枚のなかにさまざまなモチーフが描かれています。美しさだけではなく、不気味さや痛々しさまで含んだ独特の世界観があり、絵柄そのものから多くのことを考えられるデッキです。
象徴の深さ ★★★★★
ガイドブックでは、カードに描かれた象徴について2〜3ページほど使って解説されています。タロットとの関連が語られるカードもあり、ガイドブックまで読み込むことで、さらに深く楽しめます。
メッセージの具体性 ★★★☆☆
特定の質問に対して具体的な答えを出すというより、今の自分がどこにいるのか、これから何を意識すればいいのかを考えることに向いています。質問そのものがわからないときにも使えるデッキです。
初心者へのおすすめ度 ★★☆☆☆
独特のアートワークや難しいカードタイトル、抽象度の高いメッセージなど、最初の一組としては少しハードルがあります。オラクルカードに慣れて、一般的なやさしい世界観とは違うものを使ってみたくなった頃に、特におもしろさを感じられると思います。
※星の数はカードの優劣ではなく、このデッキの特徴を表すための目安です。


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