ハデス(プルート)【冥界の王、死、四季のはじまり】

ギリシャ・ローマ神話

Hades、Pluto。地下世界(冥界)の支配者。冥界の王であり、地下鉱物資源の守護者。古代ギリシャ人は、死後、魂は蘇ると考えていたため、冥界は「死の世界」ではなく「蘇る日を待つ場所」と考えられていた。冥界には、正しい者が過ごす楽園エリュシオンと、不浄な者が落ちるタルタロスがあるとされる。

ギリシャ神話ローマ神話英語
ハデスプルートプルートー

クロノスとレアの息子で、ゼウスポセイドンの兄。

『ペルセポネの略奪』(ピーテル・パウル・ルーベンス/1636-1637年)

ハデスの物語では、あるとき、大地の豊穣を司る神デメテルの娘ペルセフォネに恋をして、花を摘んでいたコレ(ペルセフォネの元の名前)を略奪して、地中に連れ去ったエピソードが有名。上図では、ハデスに連れ去られるペルセフォネが描かれている。

娘ペルセフォネが連れ去られたデメテルは、悲しみに暮れ、地上は大規模な不作や凶作に見舞われた。デメテルの懇願により、ゼウスはハデスにペルセフォネを地上に帰すよう約束するが、地上に帰ったペルセフォネは冥界のザクロを4粒(または3粒、6粒)だけ食べてしまっていたために、1年の3分の2は冥界に留まることになってしまった。このため、ペルセフォネが冥界にいる期間は冬となり、1年に四季が生まれたとされる。ペルセフォネは略奪の被害者であるようにみえるが、後に「冥府(冥界)の女王」としてハデスの傍に君臨することになった。(このエピソードはディズニーにより『春の女神』として、アニメ化されている)

また、ハデスは被ると姿が見えなくなる「隠れ兜」を所持しており、ティタノマキア(ゼウス率いる神々と、クロノスとティターン神族との戦い)ではこれを活用してクロノスと対決するゼウスに助力し、結果的にティターン神族を打ち破った。さらに、ギガントマキア(ゼウス率いる神々と巨人族との戦い)においてもヘルメスがこれを用いて戦った。この兜はペルセウスに貸与されメドゥーサ退治にも貢献した。ハデスは、武器として二叉の槍(バイデント)を持った姿で描かれることもある。

キーワード

冥界の王、死、四季のはじまり

関連するシンボル

冥王星

1930年に発見された「冥王星」は、太陽系の最果ての惑星として「Pluto(プルート)」と名付けられましたが、ハデス(プルート)に由来します。しかし、2006年8月に「冥王星」は「惑星」という区分から外され「準惑星」になりました。(「惑星」の定義である『まわりの天体を重力で掃き飛ばして軌道の近くに他の天体がいないこと』にあてはまらず、周囲に多くの星が存在したため。周囲の天体を掃き飛ばすには「冥王星」はサイズが小さく、重力が足りなかったということ。)

冥王星

登場するオラクルカードデッキ

『Gods and Titans』by Stacey Demarco

ハデス 死

カードのキーワードは「死」ですが、ハデス(古代ギリシャ)において、「死」は必ずしも否定的なものではありません。肉体的な死などではもちろんなく、「終わり」や「次のステージに進むための置き去り」という意味で考えます。すべてのものには寿命があり、特に意識されることがないものとして、古いアイデアや常識感、信念、恐怖感などは不要になったら取り除かれるべきものです。さもなければ、いつまでも古い自分に固執し、次のステージに進んでいくチャンスを逃してしまいます。ハデスは「終わりの場所を統治する存在」ではなく、「次のはじまりを待つ場所」の統治者なのです。次のはじまりの流れに乗るために、ここで不要なものには「死」を与えることが大切です。今こそ、自分の内面と向き合うときです。過去の自分から解放されて、新しい自分を自由に生きていきましょう!

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