The Elemental Oracle(エレメンタルオラクル):レビュー【シンプルイズザベストなわかりやすさ】

カードレビュー

『The Elemental Oracle』は、万物の根源であるエレメント(元素)のエネルギーをテーマに制作された美しいオラクルカードデッキです。キラキラのオーロラ加工紙で作られたパッケージは、それだけでワクワクが止まらなくなります。日本語版も販売されていますが、カードの表記はどちらにしても英語なので、ぜひ英語版をおすすめします。

わたしは、このカードをStacey Demarcoの2つめのデッキとして購入しました。当時から日本語で出る前の、海外から発送されるものを購入することが多く、Stacey Demarcoのデッキはオラクルカードとして使いやすいことがわかっていたので、もはやジャケ買いでした。「あ、新作じゃん!」⇒「ポチー」です。今でも鮮明に覚えているのは、パッケージのキラキラにびっくりしたこと!海外発送のちょっとぼろぼろになった袋の中から、こんなにギラギラの箱が出てくると思ってなかったんです。

さらに、中身もさすがStacey Demarco。シンプルなメッセージ性は以前の『DIVINE ANIMALS ORACLE』と変わらず、エレメントをテーマにしたデッキということだけあって、一段と汎用性の高い象徴が描かれていました。つまり、動物たちよりもずっと応用の幅が広がったわけです。ただ、そのぶん、象徴として考える能力や発想能力が必要なカードであることも否めませんが。

基本情報

私たちの祖先は、土、空気、火、水、月、太陽、そして四方の力を利用してきました。これらはすべて、何千年もの間、異教や魔術の伝統の重要な部分でした。今、私たちは科学の錬金術を加えます。最小の原子から最大の太陽まで、磁気から電気まで、最も激しい嵐から重力の静けさまで。今、あなたは真の魔法のこの強力な織物に繋がることができます!

『The Elemental Oracle』裏面説明文より引用・翻訳

枚数:44枚

ガイドブック:104ページ

カードサイズ:128×90mm

パッケージサイズ:10.2×3.56×14cm

著者:Stacey Demarco

アートワーク:Kinga Bristschgi

キラキラのボックスとシルバーエッジ!

カードはツルツルのコーティングがされていますが、少し薄めの紙で、コーティングの下で紙が少しボコボコしているのがわかります。また、湿気などによって少し反り返りやすいです。そして、なによりシルバーエッジがたまりません!バックデザインの色とシルバーエッジが合わさって、ボックスのオーロラカラーのような雰囲気をカード自体にも醸し出しています。このシルバーエッジこそ、英語版をおすすめする理由なのです!(日本語版にエッジカラーはありません。)

「エレメント」というテーマのためか、混ざりっけを感じず、シャッフルしているあいだにも頭が空っぽになったような気がします。

カードのデザインは、それぞれ神話をモチーフにCGと写真のコラージュで描かれています。シンプルなテーマですが、それぞれのアートワークはシュルレアリスム的な描かれ方をされており、みているだけでインスピレーションが刺激され、この絵の向こう側の物語考えたくなってしまいます。

「エレメント」という一見、単純でわかりやすい素材を、再表現し、イメージを捉えなおし、逆に、その世界観を拡大させているという点で、アートの凄さを感じます。メッセージは、非常にシンプルに書かれているので、イメージからインスピレーションを得て、言葉を広げるのに、とてもわかりやすくなっています。

シンプルイズベストな明快さ

カードの描かれる象徴は「エレメント」なので、どれも一応どこかで触れたりしたことがあるものがほとんどです。そのため、改めて理解しなくても自分のなかにある程度のイメージを持っているはずです。そこにメッセージが書かれているので、まずは「なるほど!」という感じで、シンプルに納得することができる作りになっています。さらに、アートワークからイメージを拡大させていくことで、シンプルなメッセージながらも、より深みなリーディングメッセージを受け取ることができます。

このデッキは、地、空気、火、水といった四大元素だけでなく、月、太陽、四方位の力など、古代から魔法に活用されてきたエレメントのエネルギーを通じて、私たちの創造力を引き出すことを目的として製作されました。カードに触れれば触れるほど、その意図を強く感じることができるでしょう。

背景知識もしっかり書かれた丁寧なガイドブック

付属のガイドブックには「メッセージ」と「力の言葉」「解説」「エレメント」がだいたい見開き2ページで書かれています。「力の言葉(Word of Power)」には、各エレメントを表す古代語が書かれており、たしかに、古い言語で表現されるとそこに得体の知れないパワーを感じることができます。Stacey Demarcoの動物のオラクルと同じように、解説の部分がしっかりと書かれていて、知識として勉強することもできるガイドブックになっています。

普段のリーディングでは「メッセージ」の部分か、カードに書かれた「キーワード」から読み解くことで十分に読み解くことができるでしょう。

初見でも読めるシンプルなわかりやすさ

このデッキは、一般的なオラクルカードと同じようにリーディングすることができます。カードの特徴としては、シンプルなことであり、初見でも十分にインスピレーションをはたらかせてリーディングできるということです。エレメント自体はどこにでもあって、文化圏による意味の変化がそれほど大きくありません。そのため、ぱっと見でわかりやすく解釈できるものがほとんどです。

このデッキでも、作者Stacey Demarcoは「パンテオンテクニック」をオススメしています。これは、カードをテーブルのうえに全部広げて、気になるもの、自分が惹かれるものを選びとるという方法です。それを今の自分へのメッセージとして、受け取ってみるのもおもしろいでしょう。

エレメントについての再考

「エレメント」と言われるとなんとなくは知っているつもりですが、このデッキを通して、その深淵な世界を再考することができます。例えば「火」と一言でいうのは簡単ですが、このデッキでは「点火」がキーワードになっています。解説としては、ギリシャ神話から「プロメテウス」が人類に火をもたらす話が紹介されており、そもそも「火」とはなにか、ということに思いを馳せることができます。単に「火」というだけではなく、そこから、その本質を考えるきっかけを与えてくれるデッキになっています。

個人的には、陰陽五行の概念と非常に相性がよく、陰陽五行で考え直すのもおもしろいデッキのひとつです。

シンプル故に言葉は少なくていい

デッキの問題点があるとすれば、シンプルなメッセージであるがゆえに、それ以上の言葉が必要ではないときがあることです。このカードが伝えるメッセージは、本当は一言で済んでしまったりするわけで、それ以上の解説も、本来は必要ないのかもしれません。しかし、リーディングとなると、そこから言葉を付け加えたり、解説していく必要があり、それが蛇足だと感じてしまうこともあります。

そのため、リーディングは初心者でもしやすいものの、他人のためのリーディングとなると少し難易度があがるかもしれません。他人のために読むなら、ある程度の説明が必要で、自分だけが納得するイメージでは不十分になるのです。

自分の言葉で語りたい、あなたへ。

この『The Elemental Oracle』は、自然のエレメントと深くつながりたいと考える方、自己の創造力を高めたい方に最適なデッキです。エレメントとは、人間が勝手に分けた要素ですが、しかし、それによって、世界のさまざまな謎が明らかにされてきました。エレメントという概念そのものが、現代の科学の基礎であり、そのあいだには魔術や錬金術なども含まれています。つまり、そこに占いもあって、このカード自体が原点回帰のような作品であるともいえるでしょう。

現代の科学主義の時代において、オラクルを含めた占いは、怪しいものとみなされることも多いですが、元を返せば同じもの。そこに改めて目を向け、そして、人生を自分の言葉で捉えなおしてみる。これこそが、自分の人生を生きることであって、暗い過去から抜け出すための第一歩になるでしょう。それを後押しするのが、このデッキといえそうです。

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