Ant。アリは、体長1~30mmほどの小型昆虫で、世界で推定2万種以上、日本でおよそ300種が知られている。人家や畑の近くにも多く、身近な昆虫のひとつ。原則として、産卵行動を行う少数の女王アリと、育児や食料の調達などを行う多数の働きアリ、餌を得るための狩りや巣の防衛を担う兵隊アリが大きな群れを作る社会性昆虫である。
アリの体はおおむね円筒形で細長く、頭部、胸部、腹部のそれぞれの間が細くくびれ、大きく動かすことができる。アリの巣に掘られた狭い穴の中での生活に適応すべく、腹部前方の節が細くくびれて柄のようになった「腹柄節」(ふくへいせつ)もち、これは昆虫でもアリだけにある器官となっている。体色は黒いものが多いが、黄色、褐色、赤色などの種類もいる。
頭部には大きな顎が発達し、餌をくわえたり、外敵に噛みついたりできる。一対の触角が発達しており、仲間の出す足跡フェロモンを感知し、獲物までたどって行列を作る。
アリは、近くですぐに見つけられ、人間になじみのある昆虫のなかでは小さいことから、人間から見れば弱い存在と思われがちだが、肉食のものが多く、活発で攻撃力があって集団をなすため、他の昆虫にとっては実は恐ろしい存在である。様々な生態系で、アリは最も重要な小動物の捕食者の役割を果たしている。
多くの個体が1つの仕事にかかるアリの行列や、アリたちの社会性のある行動から「集中」「協力」「忍耐と信頼」「チームワーク」の象徴となっている。アリの行動を見ていると、自分(エゴ)ではなく、もっと大きなもののために協力していることがよくわかる。また、アリの行列を邪魔してみても、少し時間を置けば復活しており、目標達成に対して非常に粘り強いことも感じられる。
イソップ童話『アリとキリギリス』は、夏の間アリが穀物を集めるのを見てキリギリスが驚くが、冬になって食物に困ったキリギリスはアリのもとを訪れ、それに対してアリは、夏のうちに苦労しておけば今は困らなかっただろうという物語。この物語では、働き者のアリと音楽でのんびりしているキリギリスとが対比され、将来に備えることの大切さが寓意的に表現されている。(※現代では、キリギリスは音楽でアリを楽しませることで、冬の間も食べ物を分けてもらうというストーリーに変更されている。)
この物語においても、アリはなにかを集中して成し遂げる、賢く労力を使うことの象徴となっている。
キーワード
集中、協力、忍耐と信頼、チームワーク、賢い戦略
関連するシンボル
ゼウス
ゼウスが戦いのためにアリからミュルミドンという戦士部族を創り出したという説がある。アキレウスが、トロイア戦争の際にミュルミドン人を兵士として従えたとされる。
ハチ
オラクルカードに度々登場するアリと同じ社会性をもつ昆虫として、ハチがいる。アリとハチはともに社会性を持つことから「協力」という意味の象徴として扱われるが、ハチの方が、アリよりも個体数を多く考えられることが多い。つまり、アリは「2個体以上の協力」であるのに対し、ハチは「グループや社会の協力」といったことの象徴となっている。
登場するオラクルカードデッキ
『The SPIRIT ANIMAL ORACLE』 By Colette Baron-Reid
2匹のアリがパズルのピースを運んでいる様子が描かれています。アリは協力することで、その小さな体からは想像もつかないような大きなことをやってのける生き物です。アリのカードを引いたなら、ひとりでがんばらない、誰かと協力することがとても重要なときになります。アリたちの行動は、自分だけのためではなく、もっと大きななにかのために動いていることがわかります。私たちが誰かと協力(コラボ)するときも、そこには大きな目標のためであって、お互いが自分のためだけのことを考えていては、けっしてうまくいかないのです。私たちもアリと同様に、もっと大きな目標を掲げ、そこに向かって仲間と協力できたとき、本当に大きなことを成し遂げることができます。
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